美容鍼

美容鍼とは、美容を目的として行われる鍼施術のことを指します。

●鍼灸とは

鍼灸は、ツボに鍼を刺すことで、人間が本来持っている自然治癒力を高めていく施術方法になります。
身体を局所的にみるのではなく、全身の気血（エネルギー・血液）の流れを観察し、施術を進めていくことが鍼の特徴です。
ちなみにエネルギーや血液が流れる経路のことを経絡（けいらく）、経絡が分岐したり合流したりする重要なポイントを経穴（けいけつ）と呼んでいます。

・美容鍼では顔のツボを刺激する

経穴は全身に360箇所ほどあるといわれています。
その中の約60箇所は顔まわりにツボが集中しているといわれています。
美容鍼では、おもに顔のツボを刺激することで、たるみやしわ、シミといった肌トラブルの改善を目指します。
また、自律神経（内臓機能）の調整が必要な患者様に対しては、顔以外の箇所に鍼を刺す場合もあります。

●美容鍼で使う鍼・機材

・非常に細い鍼

美容鍼では、通常の鍼施術よりもさらに細い鍼（0.1mmほどの太さ）を使用することが一般的です。
一度の施術で、およそ20〜30本ほどの鍼を使用します。

・かっさプレート

かっさと呼ばれる、プレート状の器具を使用する場合があります。
かっさで圧をかけた状態で肌をこすり、リンパや血液の流れを促していきます。

・パルス波

患者様によっては、刺した鍼にパルス波（電気）を流す場合があります。
電気で経穴への刺激を強められるため、より施術後に反応が出やすくなります。
パルス鍼はおもに頰や頭皮に使用され、10分間ほど電気を流します。

●美容鍼の特徴

・痛みを感じにくい

美容鍼で使用されている鍼は髪の毛程度の細さであり、かつ先端は注射針のように尖っていないため、刺したときの痛みは感じにくくなっています。
また、ストロー状の器具「鍼管（しんかん）」を肌に当てた状態で鍼を刺すため、感覚神経がピンポイントで反応することを防いでいます。

・衛生面でも安全

当院ではディスポーサブル（使い捨て）鍼を使用しています。
鍼の先端部分を手で触ったり、他の患者様に刺した鍼を使い回したりすることはありませんので、衛生面でも非常に安全です。

・反応が出やすい

鍼による刺激が表皮の下にある真皮層や皮下組織まで届くため、美顔器やエステのような表面的な刺激と比較して、施術後すぐに反応が出やすくなっています。

●美容鍼の施術時間

美容鍼の施術時間はトータルで20～30分になります。

●美容鍼の注意点

血流が滞り、血管が硬くなっている箇所では、鍼を刺すことで内出血を起こす場合があります。
数日〜1週間程度で内出血は引いていきますが、気になる方はあらかじめご相談ください。

鍼や電気、かっさによる施術で、身体には以下のような反応が起こるといわれています。

●美容鍼の効果

・表情筋の緩和

経穴への刺激で、顔まわりの筋肉（表情筋）の緊張が緩和していきます。
また、パルス波でマッサージを加えると、より筋肉の柔軟性が高まりやすくなります。

・血液、リンパの流れの促進

美容鍼では、鍼を刺すことで肌に小さな傷をつける形となります。
損傷した部位を修復しようと、顔まわりの血液やリンパ液の流れが活性化されることが考えられています。

・コラーゲン分泌の促進

鍼の刺激は肌の奥まで届きます。
それにより、真皮層でコラーゲンの分泌が促進されて、お肌の張りやツヤが戻りやすくなります。

●美容鍼で改善が期待できる症状

上記に挙げた作用によって、具体的には以下のようなお悩みの解決が期待できます。

・たるみ

コラーゲンの生成が促進されることで、肌の弾力性が高まっていきます。
また、肌を支えている表情筋のこわばりもとれてくるため、たるみが改善されやすくなります。

・顔のむくみ（顔が大きくみえる悩み）

顔まわりの循環が改善すると、老廃物の排出が促進されていきます。
それによって顔のむくみがとれやすくなり、小顔効果が期待できるようになっています。
リンパや血液の流れを促すためには、かっさによる施術が特に効果的です。

・しわ

コラーゲンの生成でお肌の弾力性が高まるため、しわが目立ちにくくなります。
また、パルス波で表情筋を動かすことによって、よりリフトアップ効果を狙えます。

・シミ

お肌の修復機能（ターンオーバー）が活性化されると、シミの原因となるメラニンの排出が促されやすくなります。

・クマ、くすみ

顔まわりの血液が促進されると血色が良くなってくるため、目の下のクマや顔全体のくすみが解消されやすくなります。

・化粧ノリが良くなる

顔まわりの循環が改善されると、水分量も増えてくる傾向にあります。
お肌の潤いが戻ることで、施術後に化粧ノリがよくなる場合があります。

・頭痛・肩こり

美容鍼では、頭皮の緊張もゆるんでいきます。
それによって、頭部への血流が回復し、緊張型頭痛の改善が期待できます。
また、経穴への刺激で副交感神経の働きが活性化されるため、肩まわりの緊張がゆるみ、肩こりの緩和も合わせて期待できるようになっています。

・目の疲れ・眼精疲労

顔まわりには、目の疲れに効くツボが多数あります。
また、経穴への刺激で自律神経のバランスも改善してくるため、目の疲れや眼精疲労（めまい、疲労感など）の症状が緩和しやすくなります。